中四国学生ハンドボール連盟 2013スペイン遠征 試合結果と戦評
2月28日(1日目)
【男子】
中四国学連選抜 22-36 FCバルセロナユース
得点者:又吉7,角6,橋本4,中村・金城2,土居1
<選評>
相手は、世界を代表するクラブチーム、FCBarcelonaのユースチームである。ポスト、キーパーともに身長が200cm近くあり、残りのメンバーも平均190cmはあろう選手が揃った大型チームであった。開始直後、中四国選抜チーム(以下、中四国)7番橋本の、DFとDFの間を狙ったランニングシュートが決まり、試合が動き出す。その後、相手OFの強力な攻撃を強いコンタクトで防ぐものの、相手OFは常に高い位置でボールをキープし攻撃を継続させることで、質の高い攻撃を展開していった。しかし時間の経過とともに徐々に差を開けられ、11点差で前半を折り返すこととなった。ハーフタイムでは、より強く且つボールを中心としたコンタクトの徹底を再確認し、後半に望んだ。後半は確認したDFが機能し、相手OFにリズムをつかませない。また攻撃においては2番又吉、3番角、7番橋本を中心としたフローター陣が、日本人の特長であるスピードを生かした攻撃をDFの間に仕掛け、 DFを動かすことでチャンスを作り、得点に繋げていった。 最終的には14点差で試合を終えたが、相手にリズムをつかませないボールを中心とした強いコンタクトのDFと、前を狙いながら継続性の高いOFの重要性を再認識させられる試合となった。
(バルセロナユースと)
【女子】
中四国学連選抜 25(12-10,13-14)24 サンジョアンデスピ(ユース)
得点者:古田9,大森・平川6,比嘉・石川2
<戦評>
試合開始1分でキャプテンの古田が先制点をとり幸先のよいスタートを切ったが、パス・キャッチなどの簡単なミスが目立ったことやコンビネーションがうまくいかずシーソーゲームのような展開となった。その後、相手に連続して得点され、3点差まで差がついてしまったが、スピードのある速攻が多くみられるようになり、前半は12−10で折り返した。
後半に入り、前半の流れを変えないままリードした形で試合を運び、平川の速攻で5点差まで開いた。また、いろいろな選手が試合に出る機会があり、それぞれの個性を活かしたプレーがいくつか見られた。ラスト5分で連続して4点決められたが、なんとか守りきり25−24で勝つことができた。
3月1日(2日目)
【男子】
中四国学生選抜 24(11-14,13-14)28 グラノジェールスユース
得点者:又吉7,橋本6,中村・金城4,角2,永田1
<戦評>
相手はFCBarcelona同様、1軍がスペインリーグ1部に所属している強豪クラブBMGranollersのユースチームである。このチームも平均身長が190cmクラスの選手が多数揃った大型チームであった。開始直後から2番又吉、7番橋本を中心としたDFの間をスピードをつけて強く狙い継続させる攻撃と、相手に守られないようボールを受けてから1・2歩という非常に速いタイミングのスタンディングシュートを中心に得点を重ねていく。一方、相手チームは、大型ポストをアウトサイドに配置し、体格差のミスマッチを狙ったOFを仕掛け、さらにDFを押し込み、そこにクロスを合わせる攻撃展開を構成し、得点を重ねていった。このように、両チームともにお互いの得意とするプレーで得点を重ね、前半を3点ビハインドで折り返す。ハーフタイムの際に、DFでは相手の押し込みに負けない強いコンタクトにより相手のクロスプレーを防ぎ、OFではポストの中継を駆使したさらなる攻撃の継続性向上を目指すべく、後半に臨むこととした。後半は確認事項の徹底がなされ、一進一退の攻防が続くが、ノーマークでのシュートミスやパスミス等、勝負所でのイージーミスがかさみ、最終的には4点差で試合を終えた。この試合を通じて、我々が常に目指している理論的なプレーにより、身体サイズに恵まれ、かつレベルの高い相手にも通用することが確認できた。一方、体力消耗時および強い圧力を受けながらの、プレーの正確性維持の難しさを再認識し、次への課題を抽出することができた。
【女子】
中四国学生選抜 30(21-8,9-9)17 グラノジェールスユース
得点者:山田5,古田・林・平川4,仲里・安川3,大森,藤目2,石川・中嶋・竹内1
<戦評>
立ち上がりから速攻で林が先制点をとり、良い流れで試合を展開することができた。また、GKの名所が7mスローを3本止めるなどのファインセーブを見せ、流れを相手に与えないまま21−8で前半を終えた。
後半に入ってから、これまで試合にあまり出られなかった竹内、藤目がスピードのあるプレーで得点を挙げ、安川も速攻やポストシュートなどガッツのあるプレーを見せ、チームを盛り上げた。しかし、退場する場面も多く見られ、なかなか流れをつかめない場面もあったが、30−17で圧勝することができた。
中四国学生選抜 22(14-16,8-13)29 グラノジェールスB
得点者:石川7,古田6,林3,比嘉・山田2,大森・平川1
<戦評>
立ち上がりから石川のガッツあるプレーで7mスローをとり、キャプテンの古田が先制点を挙げた。GK名所のファインセーブやOFでのパス・キャッチなどの簡単なミスが減ったことによりセンター石川を中心とした意図した攻撃が成功し、流れをつかんだ場面が何度もあった。しかしDFでの連携がうまくいかず、互角の試合展開となり、前半は14−16で折り返した。
後半は、石川のロングシュートなどで流れをつかんだ場面もあったが、前半には見られかった簡単なミスによって相手のペースで試合が展開され、取り戻すことができず点差がひらいた。またDFではフィジカルの強い相手に対して守りきれず、ラスト10分で連続得点を許し、最終的には22―29で敗れた。
3月4日(3日目)
【男子】
中四国学連選抜 15(9-8,6-12)20 ジャゴスタ
得点者:清水3,又吉・中村・山本・岡2,角・橋本・芝・下田1
<戦評>
相手は、今まで対戦したチームに比べ体格的に劣ってはいたが、平均身長が180cmはあり、中四国を体格的に十分圧倒するチームであった。中四国は、立ち上がりからフローター陣のスピード豊かなコンビネーションを中心に、14番大矢根や9番土居の確実なシュートで得点を重ねていく。守っては、6番山本や13番清水が激しいコンタクトDFにより相手にリズムをつかませない。しかし、相手も負けじとサイドシュートや、ポストプレーで着実に点を重ねていく。中盤あたりから中四国にミスがかさみ、それを逆速攻につながれ連続失点を喫するが、ここで、中四国2番又吉、10番永田のスピード豊かなOFを中心に踏ん張り、前半を1点リードで折り返す。後半、中四国に疲れが見え始め、OFでのミスが目立つようになり、相手の逆速攻につなげられる。その後、一進一退の攻防が展開されるが、最終的には、5点差での敗北を喫した。
中四国学連選抜 19(6-17,13-14)31 グラノジェールスC
得点者:橋本4,又吉・芝・土居・永田・大矢根2,角・中村・村瀬・岡・古谷1
<戦評>
相手は、1軍がスペインリーグ1部に所属している強豪クラブBMGranollersの3軍であった。今チームはこれまでの相手と同様、体格を生かしたプレーを中心にOFとDFを組み立てていた。中四国は、これまでとは違った新しい布陣で試合に臨んだが、新メンバーゆえの連携不足が目立ち、開始早々からミスによる連続失点という、悪循環に陥ってしまう。前半は中四国17番小澤のパスワークから21番岡、15番村瀬、20番古谷のシュートなどで巻き返しを図るが、差は縮まらず、11点差で前半を終えた。後半はメンバーを入れ替えることでプレーの連携を向上させ、少しずつリズムをつかむことができた。しかし、ここまで好セーブを連発していた12番河野の負傷退場によりリズムを分断され、流れを呼び込むまでには至らなかったが、後半は互角の戦いを展開することができた。最終的には前半の点差を埋めることができず、点差での敗戦となった。全メンバーの責任ある取り組みと、それに伴うプレーイメージの共有化における課題が顕在化した試合となった。
【女子】
中四国学連選抜 23(13-14,10-7)21 モンカダ
得点者:山田6,古田・石川・仲里5,林・大森1
<戦評>
立ち上がりからシュートミスやパス・キャッチミスが目立ち、相手のペースも持って行かれ、集中しきれていない様子がうかがわれた。DFでも間を抜かれ、相手が5人の場面でも点を取れず、なかなか流れをつかめなかった。仲里のサイドシュートで1点差までは追い上げるが、13−14で前半を折り返した。
後半10分で、竹内をトップにした5・1DFでしっかり守り、速攻からの継続したプレーで得点したことによって流れをつかんだ。退場者が出たり、シュートミスが目立ったりする場面があったものの、しっかり守りきり23−24で勝利した。
3月5日(4日目)
【男子】
中四国学連選抜 33(15-15,18-19)34 バルセロナ大学
得点者:又吉8,橋本7,中村5,土居・永田・清水3,金城2,大矢根・岡1
<戦評>
相手は、スペインリーグ3部から6部に所属する選手で構成された、大学生チームであった。今チームは攻撃主体のチームであり、これまでの相手と同様、体格を生かしたプレーを中心に試合を組み立てていた。中四国は、前回の反省を踏まえ、継続的な質の高い攻撃を展開して行った。特に中四国2番又吉、7番橋本のフローター陣の展開に加え、9番土居、13番清水、4番中村といったポスト、サイド陣も展開に関わり、さらに厚みのある攻撃が展開できた。しかし、相手の体格を生かしたパワープレーを防ぎきれず、前半を同点で折り返した。後半は中四国10番永田のリズムの良いパスワークから5番金城らが確実にシュートを決め、残り10分、2 点のリードをさらに広げるべく、DFシステムをよりアグレッシブな4ー2DFや、センターエリアを厚く守る6ー0DFを仕掛けるが、相手の強力なパワープレーに押されてしまう。試合終了間際、決定機でのシュートミスからの攻撃により、相手に与えてしまったノータイムフリースローを決められ、33対34、1点差での敗北となった。これまでの試合の中で最も効率的な攻撃ができ、得点を重ねることができた。一方、DFでは大型ポストを守る技術および戦術の確立の必要性を、改めて知ることができた。
中四国学生選抜 11-13 フランケーザス(25分1本の親善マッチ)
得点者:岡部3,角・村瀬2,角・小澤・下田・岡1
<選評>
相手は、スペイン6部リーグに所属するチームである。中四国は、17番小澤を中心に3番角、11番岡部、15番村瀬が得点を重ねていく。しかし、効率的なOFの継続が少なく、単発での得点が目立つようになる。相手も単発でのOFが目立ち、さらにミスを誘発させるようなDFによって逆速攻のチャンスをつかむものの、中四国もなかなかパスが通らず、得点につなげることができない。しかし、11番岡部、19番下田の奮起もあり、得点を重ねるが、相手の徐々にかみ合ってきたOFを守りきれず、2点差での敗北となった。試合後、エキシビジョンマッチとして現地チーム(Franquezas A)と中四国の混成チームによる試合が行われた。スペイン人、日本人両コーチの指示のもと、中四国の選手たちは言葉の壁に阻まれはじめは戸惑い気味であったが、徐々にプレーを通じて意思疎通を図り、最終的にはチームとして一体感を持ち、日本人とスペイン人がともに手を取り合い試合に取り組んでいた。このように、言葉を必要としないスポーツを通じた異文化交流の素晴らしさを、選手およびスタッフともに実感することができたと言えよう。
【女子】
中四国学生選抜 14-8 フランケーザス(25分1本の親善マッチ)
得点者:石川・平川4,安川2,仲里・山田・大森・長井1
<戦評>
大森の速攻で先制点を取り、DFも安定しており良いスタートをきった。しかし、前半9分で相手のメンバーが変わり対応しきれずに流れが変わってしまった。前半16分、石川と平川の速攻で連続得点をすることによって、これまで出ていなかった選手も出場することができ、14−8で勝利した。
後半は男子同様に,エキシビジョンマッチとして現地チーム(Franquezas A)と中四国の混成チームによる試合が行われた。スペイン人、日本人両コーチの指示のもと、中四国の選手たちは言葉の壁に阻まれはじめは戸惑い気味であったが、徐々にプレーを通じて意思疎通を図り、最終的にはチームとして一体感を持ち、日本人とスペイン人がともに手を取り合い試合に取り組んでいた。このように、言葉を必要としないスポーツを通じた異文化交流の素晴らしさを、選手およびスタッフともに実感することができた。
3月6日
【男子】
中四国学連選抜 28(12−18、16−20)38 OARGracia
A
得点者:又吉10,橋本7,中村4,金城・土居・永田2,山本1
<戦評>
相手は、スペインリーグ3部に所属しており、日本代表チームとの試合においても互角の試合ができる強豪クラブであった。中四国は、相手の高さのある6ー0DFに対し、2番又吉、7番橋本、10番永田のスピードのある動き、そしてパス回しからのスタンディングシュートが次々と決まり、開始5分で4対0と抜け出す。しかし、相手も負けじとフィジカルを生かしたDFの間への強い攻めや、ロングシュートで得点を奪いにいくが、1番川野が好セーブを連発し、なかなか得点を奪うことができない。このチャンスを生かし、中四国はさらに、早いパス回しからの強い縦への攻めをパラレル、クロスで継続していくことで、得点を重ねていった。しかし、徐々にOFミスが増え始め、そのミスを相手の逆速攻につなげられてしまう。戻りの速さを徹底しようとするものの、相手のフィジカルを生かしたコンタクトプレーによって体力を消耗し、なかなか相手の素早く、正確な逆速攻を守ることができない。結局、6点差で前半を折り返す。後半、相手は、3ー3DFによって、OFのリズムを崩しにかかる。中四国は、縦への強い攻めが守られ始めると、相手のパスカットやドリブルカットからの逆速攻で点差が開いていく。しかし、高いDFへのポストブロックを糸口とし、サイド陣やフローター陣のカットインを攻撃に加えることで徐々にDFにスペースができ始め、シュートまで持ち込むチャンスが増えていった。そこから、中四国2番又吉、4番中村、7番橋本らが得点を重ねていくが、相手の猛攻を防ぎきれず、最終的には、28対38で試合を終了した。
【女子】
中四国学連選抜 32(15-12,17-15)27 O.R.A.Gracia
得点者 古田10、石川6、竹内5、大森・梅木3、山田2、林・平川・安川1
<戦評>
運動量のある竹内をトップに置いた5-1DFが機能し,山田が速攻で先取点をあげたものの、セットOFでミスが続き流れをつかむことができない時間が続いた。また,相手がセットOFをダブルポストにシステムチェンジしてからは力で押し込まれる場面が続く。しかし,18分過ぎから古田の速攻などで流れをつかみ,セットOFでは安川,石川を中心としたコンビプレイで得点を重ね,前半は15-12の3点リードで終えた。
後半に入りDFの甘さから3連続失点で1点差に詰め寄られる。梅木の7mTで流れを取り戻したかったが,相手の強い1対1に対応することができず連続失点をしてしまう。たまらずタイムアウトを請求し,セットOFのシステムを確認してからは,古田のロングシュートや梅木の連続得点で相手を突き放し32-27で勝利した。